音の伝わりは、大きく分けて固体を通す固体伝達と
空気を通す空気伝達の 2 種類。
簡単に言うと伝達を遮断するか、音そのものを吸収し、
穴という穴を塞げば防音は完成します。
今回の施工は、最高レベルの防音効果が
求められるレコーディングスタジオ。
一体どの様な施工となるのでしょうか?
重量があればあるほど、その素材は振動し難い物となりますので、
基本的に固体伝達音は、重量のある素材を使用して、遮断していきます。
そこでまずは、天井に薄さ 1mm の鉛を張り合わせた
石膏ボード( 900mm × 1800mm )を施工します。
使用される鉛版の重さは一枚約 30kg なので、
6畳間の天井にかかる総重量は約 180kg にもなります。
そこで、重さに耐え得る天井にするための組み換え工事を施し、
強度を持たせると同時に、組み替えた天井の骨組みが、
音が漏れる伝達経路となることの無い様、骨組み部分でも
専用の建材を使用して施工します。
また、鉛版と天井のわずかな隙間に、テープ状の鉛 ( 薄さ 1mm) を
貼りつけるなど、隙間も徹底的に埋めます。
この工程で、音の振動による固体伝達の可能性を軽減しました。
しかし、これでも音は空気を通して響く可能性があります。
そこで、その空気伝達の経路を断つため、吸音材を
建材と躯体のすき間に設置します。
これで、上層への漏れを完全に遮断しました。
次に壁面。
基本としては、天井同様に、鉛版を使用し、
鉛版付石膏ボード+石膏ボード・ロックウール (吸音材) ・石膏ボードの
二層構造ですが、今回の場合は、鉛版付石膏ボード 0.5mm +石膏ボード
⇒吸音材⇒鉛版付石膏ボード 0.3mm +石膏ボード⇒吸音材⇒石膏ボードの三層構造。
壁厚は 20 センチにもなりました。
この工程を終え、既に十分満足できる遮音効果は得られていましたが、
遮音の効果が高ければ高いほど、音は反響してしまいます。
この反響音を軽減するために、天井仕上げ材に岩綿吸音版を、
床にはカーペットを施工して、音を吸収するような対策を施しました。
ここまで完璧に音を閉じ込めたとしても、一箇所でも穴があれば、
なんの意味もありません。密閉空間に押し込まれた音は、
一箇所の隙間を見つけると、その一点に集中し、
スピーカーの様に一気に飛び出してしまいます。
そこで、窓の隙間・出入り口の隙間・換気口など、
隅々まで気を配ることが、防音工事の要となります。
この為、高いレベルの工事精度が求められ、
職人の技術が重要になります。
「いくら防音に特化した建材を使用していたとしても、
工事に精密さが欠けていれば、無意味」というわけです。
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